こ 公園

 

福岡のセントラルパークと呼んでいる公園が自転車で3分の場所にある。

 

 

大学生になってから公園に行くのが頻繁になった。

 

帰り道にバスを途中下車して公園の中を通って帰ったり、真冬に試験が辛くてチューハイをヤケ酒のようにストローで飲みながら帰ったり、何となく何もしたくなくていつの間にか夕方になっていたときにその日を意味のあるものにしたくて読書や映画を観るために行ったりもした。好きだった人とタコスをテイクアウトして西公園まで足を伸ばしたり、城跡の1番上まで登って道無き道を歩いたりもした。

 

 

公園に行くことをヒーリングと呼んでいる。

 

 

なぜ私は公園に行くのがこんなに好きなんだろうと考えたとき、まず浮かんできたのは幼少期の楽しかった頃の思い出がたくさんあるからだということ。幼稚園が近くて弟がおほりに飛び込んだとき母が助けに行って捻挫したり、小学生の頃美術展に入賞して何度か祖父母たちも含めた家族と共に行った美術館やそのカフェ、建物があることが大きいと思う。あとは、自転車に乗ることが好きなので、止まることなく走られるから気分がいいということもある。

 

よって、楽しい思い出しかない私にとってかけがえのない場所なのである。

 

 

それが昨日、2020/11/14に一瞬にして気分が悪くなる場所に変わりそうになった。今日自転車で走って記憶を上書きして大丈夫だと言い聞かせて、友人の『あなたは何も悪いことはしていないというのをkeep your mindよ』という言葉を反芻して何とか大丈夫になったと思う。

 

 

昨日、私はインフルエンザの予防接種を受け、久々に公園に行けることを1週間前から楽しみにしていた。しかし、その楽しみは一瞬で終わった。

私を華麗にめちゃくちゃに捨てたex bfが居たのだ。公園のトイレの前のベンチに知らない女の人とただただ座っていた。すぐ分かった。あんな全身黒で、センスがないこと、スタイルが悪いことを帳消しにして他を圧倒するような見た目の人間は彼しかいない。遠くからだって分かった。彼はスマートフォンを触らない人間なのに私を認識したからかずっとスマートフォンを弄っていた。焦っているのだとすぐに分かった。焦りを感じている時の彼の挙動不審さは目を見張るものがある。文字通りの挙動不審さである。

そして、彼らは道でも何でもないところに入っていった、行き止まりなのに。そして手を繋ぎたがる彼が手を繋いでいない、そういう関係ではない2人なんだと勝手に思った。彼はこの公園まで2時間以上かかる場所に住んでいるはずで何も知らないんだなと思った。行き止まりに向かって行ったのを見て殴りにいきたいなと思った。一度殴れば全て納まりがつくと思った。そして、彼の今までの所業、私や彼の上司たちにしたことを隣にいる人に教えてやりたいと思った。とにかく負けたくなかった。私のことを忘れてしまっていたとしても、ここには書けない沢山のハラスメントや犯罪紛いをしてきた彼がのこのこと私のテリトリーに入ってきたことが許せなかった。これまでの10か月、彼の所業を黙っているから一生関わらずに生きていけますようにと何度願ったかわからない。しかも今の私のきつい状況でこのようなことが起きたことが許し難かった。私の公園が汚された。

 

結局、彼の目につくように目の前を歩き途中でカフェに行くふりをして後をつけた。幸い休日の公園は人が多く上手く見えないように後をつけられた。後をつけられてないか確認する彼の姿は滑稽だった。お城の方に曲がっていくときに持っていた爽健美茶をかけてやろうかと思ったが、復讐は負けだと思い直しやめた。結局、大事にしていた黒の革のコートをめちゃくちゃにしてやらなかったし、殴りもしなかったし、告発もしなかった。ただ座って、instagramのストーリーズに同情してくれた友人と話して心を落ち着けた。Apple musicがこのタイミングで松田聖子SWEET MEMORIESを流してきたから変えた。私は勝った。これでいい。これで十分。

 

 

彼は正真正銘の反社会的人格を持つ人間で、それに巻き込まれた私や彼の上司たちは何も悪くないこと、彼を追及したところで何も変わらないことは私も上司たちも分かっている。理解し難い、絶対に分かり合えない存在であると。

 

 

ヒーリングしに公園に行ったら最悪なことが起きてしまったけど、それは仕方がないことで、ここで怯んでは負けだと思えるほど成長したと思えるから良いと納得して、これまで通り公園はかげかえのない場所であり続ける。